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よく聞き給え。これが妊娠だ…!!
〜まりこの妊娠悪阻闘病記①〜

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●ご挨拶

皆様、はじめまして。フリーアナウンサーの池田麻里子です。
詳細はプロフィールをご一読いただくとして、現在臨月を迎えた初妊婦でございます。

まず、タイトルを見て「妊娠闘病?」「妊娠・・・つわり・・・闘病記?」と思われたそこのあなた・・・!!
「妊娠悪阻(にんしんおそ)闘病記」です。

私は、普段は元気で健康体なことくらいしか取り柄がなく、妊娠したら

「仕事は臨月直前まで続けて、復帰も産後1ヶ月でしよう♪」
「マタニティーヨガやマタニティースイミングに通って、健康優良妊婦として過ごそう♪」
「ハッピーマタニティーライフ、カモン!!♪」

と、疑いもなく思っていた、頭の中が極めてお花畑なイカレポンチでした。

まさか、妊娠悪阻になるとは夢にも思っていなかったのです。

妊娠悪阻とは、後述で詳細は述べますが、簡単にいうと酷いつわりがさらに悪化して入院を余儀なくされるレベルの病気と認められているものです。

妊娠しても、つわりが無い方や、そこまで酷くなく、仕事を続けられるレベルの方もいらっしゃいます。とにかく妊娠してからの身体の猛烈な変化は人それぞれ、千差万別で比べようもないのです。

ですが、私が妊娠悪阻になり、臨月の今でもつわりの症状に苦しんでいる中、いかに妊娠や妊婦さんへの社会的理解がないか(少なくとも今の日本では)、そのためには経験者がどんどん発信する他ないと思い、立ち上がることにいたしました。

連載させていただくのは、そんな私の地獄の妊娠悪阻闘病記です。

少しでも社会への理解が広がるとともに、酷いつわりや妊娠悪阻で苦しみ、不当な扱いを受けている仲間たちが救われたらという思いでいっぱいです。

●妊娠、そして妊娠悪阻とは??

妊娠というのは、新しい命を授かるという、極めて神秘的でおめでたい未知の世界の到来です。

しかし、その過酷さたるや、男性はもとより、女性ですら知らない人も多い、時に生死を彷徨う過酷を極めた命がけの営みです。

「妊娠は病気ではない」と、よく聞きませんか?

そんなイカレポンチなことを言う輩たちのことは、ここでは一切無視して参りましょう。

確かに、「病気」ではないかもしれません。

しかし、つわりが悪化した先の「妊娠悪阻(にんしんおそ)」は「病気」とみなされています。

保険が効いて、本人の意思にもよりますが、即入院です。

妊娠悪阻と診断されるにはいくつか以下のような基準があり、下記のどれかに当てはまると妊娠悪阻と診断されて入院を勧められます。

・1日5回以上嘔吐する
・吐き気が強くて水も飲めない
・吐くものが無いのに胃液や胆汁を嘔吐する
・短期間での5〜10%%以上の著しい体重減少
・トイレに行く回数が明らかに減る
・尿からケトン体が出る

私の場合は、

・2週間ほどで体重が8キロ減り、嘔吐は毎日10回前後。
・水は気持ち悪くて受け付けない。
・胃液や胆汁を吐く。
・トイレに一日に1度しか行かない時も。

最終的に緊急入院した際にはケトン体が+と記されていました。

そして、妊娠悪阻にいたらずとも、酷いつわりというのは、病気でなくとも、症状は病気となんら変わりありません。

なんなら、私も何度もこの人生でかかってきた40度前後の熱が出て身動きがとれなくなる「インフルエンザ」の100倍は辛いです。

もちろん、インフルエンザで命を落とす方もいらっしゃるので一概には言い切れませんが、私の経験上、妊娠悪阻のほうが100倍辛い。。。

普段健康体の人間がインフルエンザにかかっても、タミフルやらなんらかの薬を飲んで1週間も安静にしていれば、基本的には回復するでしょう?

もちろん、例外の方もいらっしゃいますが・・・。

妊娠悪阻や酷いつわりというのは違います。

まず、対応できる薬がない。そう、少なくとも日本で認可されているつわりのための薬は皆無です。

そして、その苦しみはいつ終わるか先が一切見えない。

えぇ、約10ヶ月後に子どもを無事に産めたらだいたいの妊婦が開放されるとも聞きますが、「産後も2〜3ヶ月続いた」「産後7ヶ月経つのによだれつわりが終わらない…」という悲惨な話も耳にします。

妊娠悪阻にかかった妊婦に関しては特に、10%ほどが出産まで症状が続くというデータもあるそうです。

実際、いまだに私も回数は減りましたが吐きますし、よだれつわりが終わらず、寝不足で、匂いつわりも随分と良くなりましたが、まだ続いています。

そして、女性にすらあまり知られていないこの妊娠悪阻という病に見舞われるとは夢にも思っていなかった私が、今回、少しでもこの社会に生命を生み出す命がけの妊娠について、少しでも理解が得られるようにと、本連載を喜んで引き受けることにしたのは前述でも申し上げた通りですが、驚くことに、男性はもとより、女性にすらほとんど妊娠中の症状や妊娠悪阻について知られていないのが実情です。

びっくりしたのが、薬剤師の資格を持っていたり、ヨガの先生をしている、つまり人体について詳しいことを謳っているはずの女性ですら、妊娠悪阻やつわりの症状について知らない人がいるという現状です。

それほどまでに、どういうわけか妊娠中の出来事というのは社会に認識されていません。

かくいう私も、親友が数年前に妊娠悪阻で入院するまでは、つわりについてはある程度聞いてはいたものの、その存在を知りませんでした。

妊娠悪阻は、妊婦の0.1~1%のみがかかるとも、いや、5%くらいはかかっているのでは?とも言われていますが、とにかく妊婦の中でも罹患する人はものすごく少ないため、実際に病院の産婦人科などに勤務していない限り出くわさないのかもしれません。

しかし、その症状は想像以上に重く、命の危険がある場合はやむなく堕胎をすることになる妊婦もいるほどです。また、何ヶ月も入院を余儀なくされたり、転院を繰り返しても回復が見込めずにご家族に「(奥様の命の)覚悟をしておいてください」と言われたというケースも。

とにかく生死を彷徨うほどの事態です。

医学が発展している今だからこそ最低限の対応ができるものの、その昔は簡単に命を落としていた妊婦が大勢いた事が容易に想像できます。【続】

池田麻里子

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