メディカル・データ・ビジョン第18期株主総会〜生活者ひとりひとりが医療に参加できる国へ
2021年3月23日、午前10時から診療データビジネスのフロント企業であるメディカル・データ・ビジョン(=MDV、東京都千代田区)の第18期株主総会が開催されました。コロナ禍ということで、インターネットでのライブ配信もなされましたので、本サイトも参加いたしました。
1株、3.6円の期末配当に至るまで
MDVは、今期初となる1株3.6円の期末配当がついた。背景となる事業概況は、次のとおり。
・医療機関向けのパッケージ販売を主としたデータネットワークサービスでは、DPC分析ベンチマークシステム「EVE」の導入数が722病院、病院向け経営支援システム「Medical Code」の導入数260病院
・新規サービスの看護必要度の正確な記録と適正評価を支援するクラウド型看護必要度分析アプリケーション「カンゴッチ+」の提供を昨年9月から開始
・MDVが保有する大規模診療データベース(2020年12月末現在で実患者数3451万人)を用いた調査分析サービスの売上が前期比18・5%増
・診療情報共有及び医療専用後払いサービス「CADA-BOX」の導入及び包括データ利用契約締結大幅増
一方、対処すべき課題として、1番にあげられたのが、日本最大級である3400万人超の診療データベースを保有しているが、リアルタイム性の向上が必須であり(2020年12月末現在で80万人規模)、『カルテコ』を中心としたPHR関連サービスの開発・発展、医療健康分野における新サービスの開発発展を積極的に勧めてることで、リアルタイム診療データベースの規模拡大を進めていくとした。
以下、主な質疑応答を紹介する。
質問 カルテコに力を入れていくということだが、いつごろ売上に反映されるのか。
答え 「CADA-BOX」にあったものを単体にしてアプリ化したもの。全ての国民に自由に活用してほしいと考えている。これまでは、急性期以上の大きな病院がターゲットだったが、小規模以下の病院も視野に、月に1万、2万といった安価なサービスを提供していく。現在は、病院に営業を受け付ける環境がないが、逆に環境が整えば、大きく伸びる。
質問 データ一括提供サービスはMDVの宝。製薬会社は持っていないものをそっくり渡してしまったら、一時的には成長が見込めても頭打ちになるのではないか。
答え データを全部見ることができても、細部の分析に時間がかかる。より深いデータを見たい。管理が難しいので管理をしてほしいなど、クリニックごとに様々なデータ提携が増えている。
全ての国民が自由に活用できる医療アプリ
他にも、M&Aについての考え方や、ケアネットとの事業提携、筆頭株主が富士フィルムからSBIに変わったことなどについて、株主側から質問があがった。最後に岩崎社長の進退についても及んだが、きっぱりと否定。
「生活者ひとりひとりが医療に参加できる環境をつくりたい」
と、起業時の精神を述べてしめくくった。
同社は、昨年のコロナ禍で一時は1000円以下にまで株価が落ち込み、その後、右肩上がりで成長を続けた。11月には3100円を超える高値を付けたが、その後は、驚くべき勢いで値を下げ、一時は1800円台まで落ち込んだ。ここ数週間で、ようやく底を打った感がある。
アフターコロナの時代では、再び模索が続きそうだ。(文責・編集部)