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【書評】公安調査庁-情報コミュニティーと新たな地殻変動(中公新書)

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インテリジェンスのギアチェンジ、パンデミックが新活動

 本書評の前にまずはインテリジェンスと言う言葉を簡単に説明をしたい。インテリジェンスとは外国の軍事・政治・経済に関する情報を合法・非合法的手段による情報収集活動の事である。パンデミックをインテリジェンスも密接に関係している前提から本書を読むと興味深い点を読み解くことができる。

 本書の主題の公安調査庁については20数年間前のオウム事件で一躍を馳せた感じがあるが、その後は比較的、地味な官庁であると言わざる得ない。しかし、近年、各国の情報機関がインテリジェンス活動の『ギアチェンジ』する中で公安調査庁も『ギアチェンジ』しようとしている。

 そもそも公安調査庁の活動根拠法は破壊活動防止法であり、逮捕権や強制調査権もなく、破壊活動調査指定団体の調査活動のみである。設立当初は日本共産党・朝鮮総連が主な調査対象であり、学生運動が盛んな時は新左翼やオウム事件以降はオウム真理教等の宗教団体も調査対象になり、同時多発テロ以降はイスラム原理主義者団体のようなテロ対策等の幅広い活動に含まれるようになった。

 今までの各国情報機関のインテリジェンス活動の収集分野は戦争・テロ・サイバー空間だったが今回のパンデミックは新たな活動範囲に含まれようになった。

 まずパンデミックの原因である新型コロナウイルスについては、報道では昨年末の段階でアメリカのCIA中央情報局は発生地である武漢市内で原因不明ウイルスの大規模感染や中国当局の情報操作を探知しており、直後にトランプ大統領に報告している。その後、具体的な感染力等の新型コロナウイルスのデータはかなり早い段階でトランプ大統領に報告されていたようである。

パンデミックと国際情勢

 さて公安調査庁がいつからこの新型コロナウイルスを探知したかについては、様々な情報があるが筆者はCIAと同時期か少し後ぐらいだと考えている。

 このような一連のパンデノミックに特化したインテリジェンス活動が『ギアチェンジ』である。本書でも指摘が有ったが一見、インテリジェンスとパンデノミックは関係がないように見られるが、大量破壊兵器に生物兵器が存在している。世界各地の紛争でも生物兵器は使用され多数の犠牲者が出ている。生物兵器は生産が安価に為に貧国の核兵器だと言う指摘がある。さらに国家だけなく、テロ組織が生物兵器を使用する懸念もある。実際にアメリカでは同時多発テロ以降、炭疽菌を使用したテロ事件も起きている。そのような懸念の中で情報機関としてもテロ対策という点で、今回のパンデノミックでの新型コロナウイルスの情報収集を行なっていると思われる。

 そもそも今回のパンデノミックの原因である新型コロナウイルの発生源の特定はされていない。武漢ウイルス研究所からの流失した情報があるが真相は未だに不明であるが、中国当局の生物兵器の研究と新型コロナウイルスが何だかの関係があった可能性も指摘されており、今後の国際的な検証が必要だと思われる。。このようなインテリジェンスの主戦場が国内より海外なり、戦争よりサイバーやテロ対策に変わる中で、日本でこのようなインテリジェンス活動が行えるのは公安調査庁だと本書は指摘している。ちなみに公安調査庁はオウム真理教の引き起こした地下鉄サリン事件や松本サリン事件にも取り組んでおり、化学兵器や生物兵器のデータ蓄積もあるとされている。

 本書でも触れていたが公安調査庁は毎年年末に『内外情勢の回顧と展望』を公刊しており、インターネットで誰でも見る事が出来て筆者も毎年、見ている。近年、関係者の間では『回顧と展望』での海外情報の情報の高さを驚きの声が上がっていた。これも『ギアチェンジ』の布石だと思われる。先ほども触れたがグル-バル化するインテリジェンス活動に対応することが出来るのは公安調査庁だけであると本書が指摘してるが筆者も同感である。

 しかし、まだ公安調査庁が『ギアチェンジ』した十分なインテリジェンス活動を行う為に設備・組織的なハード面や人員等のソフト面、さらにメディア対策等が不十分であると本書の指摘もあるが筆者も同じ認識である。

 現在、新型コロナウイルスのパンデノミックは収束の兆しが全く見えず、特効薬的な治療薬や有効なワクチンが登場しない限り根本的な収束はないと思われる。この状況はまだ当面続くと思われる。

 パンデミックと国際情勢の関係も非常に密接である。14世紀のヨーロッパでの「黒死病」と呼ばれるパンデミックであるペスト大流行でもは、ヨーロッパだけで全人口の4分の1 から3分の1にあたる2500万人の死亡したとされており、歴史が100年止まったと言われている。

 100年前に世界中でパンデミックを起こしたスペイン風邪は当時、続いていた第一次世界大戦の休戦を早める要因になった。日本でも幕末の開国を受けて、通商の拡大から国外から流入したコレラが国内で大流行して、江戸幕府崩壊の要因な一つと言われている。パンデミックと国際情勢との関係は密接であり、これは歴史的事実が証明している。

 今回のパンデノミックが今後の国際情勢にどれだけ影響が出るか、まだ分からないが本書を読んでみて、視点を変えてインテリジェンス活動という点で見てみる事も面白いと思う。【了】

 

川添 友幸

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川添友幸(かわぞえ・ともゆき)  1978年神奈川県生れ。明星大学大学院博士課程前期修了(教育政策) 教育産業に就職し2013年に退職して独立して教育コンサ...

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