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【アラフォー新米ママが妊活中】②〜子育ては諦めとともに

COLUMN

けい子先生の王子さま

困った時の神頼み

最近のわたしはヨガの導師のように自分の体と対話する日々を送っている。

「眠いのは、良い兆候よ。倦怠感も大歓迎。下腹部痛も腰痛も、どんとこい!なんか熱っぽいけど、これまた?もしかすると…。」

こうして身体と向き合い続けること1か月半、皆様に前回の妊活結果を報告いたしますと—-ああー、残念!振り出しに戻る!でした。

そりゃそうですよね。まあ1回で授かろうだなんて図々しいにもほどがあるか。そんなに世の中甘くないし。

毎日神様を拝んでいたって、彼らにも出来ることと出来ないことがありますから。でも、お願いを聞いて欲しかった。

今は既に2回目の人工受精をおこない、また結果待ちの最中だ。

しかし今回は前回と異なり、黄体期を持続させるルトラールという薬を服用している。黄体期とは、いわゆる排卵後の高温期のことで約14日間続く。

受精卵は、この時期、ホルモンの作用で厚くなった子宮内膜に着床し、めでたく妊娠となるのだが、ホルモンが少ないと着床し辛くなり、また仮に着床しても妊娠状態を維持できずに子宮内膜と共に剥がれ落ちてしまう。

そして月経が始まり子宮環境がリセットされる—-と、こういうことらしい。

黄体期のホルモン作用が弱い私は類似の作用をおこす薬を飲んではいるが、でもそこはやはり人間の神秘で、数式みたいにうまくはいかない。

特に妊娠という生命誕生のメカニズムは難解だ。ないものを補ったからといって簡単に正解にはならないのだ。

そのせいのか、人工受精で活性化させた精子を私に注入する際、西洋医学に頼っているはずが(忘れているかもしれませんが、わたしはいちおう歯科医師でして・・)、胸の上で拳を組んで必死に神頼みをしている自分がいる。

「神様お願いします!」

「エエイッ!」

きっとドクターも思わず気合いを入れて注入しているに違いない。

いずれにせよ、可愛い我が子をこのお腹に宿すその時まで我が家の神棚は私からの貢物で賑やかなのだ。

リビングのインテリアは見る影なし

もの想い(子宮想い?)にふける母親をよそに王子様はもうすぐ9か月になろうとしている。

最近では、ズリ這いからハイハイ、そしてつかまり立ちと、行動範囲がかなり広くなった。

わたしたち夫婦が長年飼っているペットの犬の行動にも興味深々のようで、犬のえさや水を床に置くやないなや、手を出そうとするから目が離せない。

犬の餌は序の口で、コンセントコード、マッサージ棒、カーペットの縁、加湿器—-ありとあらゆる物は王子のおもちゃである。

これからの数年は、王子にとって、色々な物に興味を持ち触って舐めて学習する大切な時期だから致し方ないのだが、まあこんなにも忙しなく動き回られるとたまったものではない。

「遂にあれをやるしかないか。」

結果、我ながらオシャレにまとめ、エッジを効かせた(つもりだった)リビングのインテリアは、王子防護の為にコンセントガードやコーナーガードなどが使われ、あらゆる「エッジ」が見事に丸められて、見る影もなし。

親になるって色々と諦めるってことのかも知れない。

命を授かることも、命を育むことも、どこにも取り澄ましたところは必要ないのだ。

次回こそは良い報告ができるといいな。王子のためにも、もう少し頑張ってみたい。【了】(2016年3月9日「ムーラン」掲載)

五十嵐けい子(いがらし・けいこ)
歯科医師。1973年生まれ。1997年歯科医師国家試験合格都内歯科医院の院長、副院長を経て恵比寿にある歯科医院に副院長として勤務。41歳にして第一子を出産。同時に、12年越しの「長い春」にピリオドを打ち、入籍。現在、近くのクリニックで週に1日勤務しながら、生後9ヶ月の愛息子の育児に追われる日々。そんな中、第2子の「妊活」に挑戦することに。

編集者

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ウェブマガジン「Colette」は、ベルエポック期から活躍し、二度の戦争を乗り越え、最期まで精力的に執筆活動を行い、また華やかな私生活でも知られたフランスき...

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